卒業生インタビュー「先輩、教えてください!」連載(3)
健康科学科を卒業し、多方面で活躍する先輩に、在学生や教職員がインタビューします。
田之上啓太さん(健康科学科10期生・養護教諭)へ、在学生がインタビューした模様の第二回目をお伝えします。
(取材日:2021年3月21日)
Part 3 大学での学びと、人とのつながり
――さきほど、採用試験対策で大学での仲間との取り組みについてのお話がでましたが、大学との出会いや学びについて教えてください。
田之上さん 今日のインタビュアーのみなさんは、インターンシップ実習や養護実習なども経験した人が多いようなので、そのお話よりも、なぜ僕がこの大学を選んだかをお話ししますね。
学生A ぜひお願いします。田之上先輩は、大学入学前から養護教諭を目指していたのですか?
田之上さん その通りです。教室や学校に入りづらいが、保健室なら通うことができたというような話を見聞きして、そんな仕事ってすごいな、養護教諭になりたいと思うようになりました。
学生B 養護教諭になるには、医療系(看護師養成)の大学や、教育系(教員養成系)の大学もあります。そんななかで、福科大の健康科学科を選んだ理由はなんでしょうか?
田之上さん 僕の場合は、看護師の資格もとれる大学と迷いました。その結果、健康科学科を選んだのは、「学べるものの幅広さ」が決め手の一つです。
学生D 幅広さというと、オープンキャンパスなどでも紹介されているような…?
田之上さん ああ、そうだね、その通り。看護師の資格もとれる大学は、やっぱり看護に関する勉強が中心になる。でも、健康科学科は教育のこともだし、福祉のこと、心理学のことも学べるでしょう。
学生C 仕事をされている中で、大学で学んだ、その幅広いことは役に立ちますか?
田之上さん もちろん。保健室の仕事は、けがした子の手当や体調不良者の対応など、看護の知識が必要な時も多いけれど、それだけじゃない。メンタル面でのケアも大切な仕事です。ほかにも、子どもたちの背景が多様化していて、虐待や貧困、障害などいろんなことを想定しながら対応するには、看護だけでなくて、健康科学科で学ぶような心理学や福祉の知識が欠かせません。
学生D 私も大学を選ぶときに「幅広い知識が必要なのかな?」って思っていたけれど、実際にお仕事をしている中でも実感されることなんですね!
田之上さん それから、保健指導で授業に入ることもあるから、大学で学んだ指導案の作成とか、教材研究とかの経験も生きています。子どもの興味をひく工夫とか、自分の中のアイデアを入れる引き出しにストックがないと使えないからね。
学生C すこし、個人的なことを相談してもいいですか?実は、保健指導などで使うような掲示物を作るのがすごく苦手なんです。これって、やっぱりうまく作れるようになるまで練習した方がいいでしょうか。
田之上さん 大丈夫、とっても上手い人は一部のひとで、いろんな先生がいます。何せ、日々の仕事をしていたら時間がないから、やりたくてもできない、ということもある。
学生C ああ、安心しました。養護実習でも掲示物がうまく作れなかったらどうしようと思って不安で…。
田之上さん 実習先にもよるけれど、事前の打ち合わせでしっかりお話をして、実習前に準備をしておくのも、一つの方法だよ。そうすれば、大学にいる友人たちにアドバイスしてもらったりできるしね。
学生C そうか!ひとりで考え込むより、アイデアもひらめきそうです。
田之上さん 実際に養護教諭として働いていると、時間がなくて、いつも凝ったものを作れないということもあるからね。それから、子どもたちに参加してもらうのもいいと思うよ。
学生A 掲示物づくりに…ですか?
田之上さん そうそう、たとえば保健指導をしたときに書いてもらったワークシートを工夫して掲示するのもいいし、掲示物づくりを通じて保健のことを考えてもらうのもいい。
学生D 先生一人で作らなくちゃ、と思っていたけど、そうじゃないんだ。
田之上さん 子どもたちが作ったものがあると、それだけでほかの児童生徒の目にも止まるし、先生や保護者さんも興味を持ってくださる。掲示物の工夫は作り方や内容だけじゃなく、そういう方法もあるよ。
――ここまでお話を伺ってきて、大学時代の仲間や、教師塾でのこと、現在の支部会での情報共有のことなど、田之上さんは、すごく「人とのつながり」がポイントになっているのかなと思います。
田之上さん ああ、そうかもしれません。人とのつながりを大切にしています。
学生B それは、何かきっかけがあって大切にし始めたことですか?
田之上さん もともとだと思うよ。大学のころもそうだけど、仕事をしていて思うのは「周りの人をいかに頼るか」はすごく大事。わからないことがあったら、すぐに「ちょっと聞いていいですか」って聞ける力は、どんなことをするにも必要だと思います。
学生C なんでも自分一人でできるほうがいいのかなって思ってしまいます。
田之上さん それも大事だけど、さっきの話にもあったように、養護教諭は学校で一人だったり二人だったりするから、いろんな人とつながっていくことは、いろんな意味で大切です。抱え込むより、「これ、お願いします!」って得意な人に任せた方がうまくいくことも多い。
学生A 教育現場では、“チーム学校”として、学内の連携も大事だと言われますよね。それもつながりだと思うのですが、学内のつながりのために、何か工夫していることはありますか?
田之上さん 「保健室に人が来てくれるように、種をまく」ことかな。
学生A 種?
田之上さん たとえば、スクールカウンセラーさんが、子どもについて必要なことを担任の先生と情報共有をする、という場面がある。それを、保健室でやってもらうようにお願いする。そうすると、保健室の立場からもお伝えできることもあるし、子どものことを知ることもできる。自然とつながりが生まれていく、そういう場面を大事にすると、いざというときに、人のつながりが生きていくと思っているんだ。
学生D なるほど!保健室を、先生たちのつながりの場所にしているのですね。
学生A 今日はたくさんいろんなお話をありがとうございました。
田之上さん こちらこそ。「養護教諭になりたい」という夢をかなえるために、がんばってください!