【授業紹介】学校教育相談

在学生有志のあつまり、KKS(Kenko Kagakuka Supporter)が健康科学科での授業や実習について紹介します!
今回は、3年生春学期「学校教育相談」を紹介するレポート記事です。


<健康科学科 3回生Aさん>

3回生春学期に履修する「学校教育相談」の授業について紹介します。

学校教育相談の授業は、養護教諭の免許を取得するためには必修の科目です。授業は全15回で、第1回から第7回までの前半の授業では、「教育相談」、「カウンセリングの基礎」など、「教育相談とはどのようなものか」、「相手に共感が伝わる返答とはどういったものか」、「カウンセリングを行う中で援助者に求められる態度とは何か」について学びます。また、第8回から第14回までの後半の授業では、「発達の課題」、「不登校」、「教師のメンタルヘルス」など、学校現場で働く中で出会うと推測される、子どもや教師の現状について学びます

この授業の特徴は、授業で学んだ知識を活かして自分なりに考える経験ができる点です。第7回では、ある事例に対して、その情報が事実なのか推測なのか、個人で分析しながら整理し、第12回では、事例に登場する人物が、何に悩んでいるのかについて、個人で原因を考えました。

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<授業の様子>

この2回の授業の中で、情報が事実か推測か分析しながら整理する経験や、事例の登場人物が何に悩んでいるのか、について考える経験をしました。そのなかで、私が事実だと捉えていた情報の多くが、実は推測だったという自分自身の課題に気づきました。また、近くの席の人と意見交換をする場面では、こういう考え方もあるのだと、新たな視点を得ることができました。

授業を受けている時は理解しているつもりでも、事例を元に自分で考えることは、思っていたよりも難しかったです。しかし、自分なりに考えてみる経験が、将来養護教諭として働く時に必要不可欠な、客観的に情報を分析する力や、視野を広げて考える力を養うことができるきっかけになると思います。

1人で考えることも必要ですが、私は近くの席の人と意見交換する経験を通して、将来学校現場で働くときに、校長先生や教頭先生、担任の先生、スクールカウンセラーさんなど、専門性の異なる人達と協力しながら「チーム学校」として働いていくことの重要性を感じました。

この授業を受けて、特に印象に残っているものの中で、『氷山モデル』という考え方があります。この考え方は、氷山には水面から見えている部分と水面の下にある見えない部分があり、目に見えない水面の下にある部分の方が大きいことに例えて、モデル化したものです。たとえば、水面から見えている「問題」(例:遅刻が多いという行動)は外から見えますが、水面の下にある「原因」(例:昼夜逆転や人間関係のトラブル、睡眠障害など)は外からは見えづらい隠れた部分に分類されます。児童や生徒が抱える問題の原因は多種多様であるため、主観ですぐに判断するのではなく、あらゆる可能性を考えた上で原因を絞っていくことが重要です。

なぜ氷山モデルが最も印象に残っているのか、それはこの考え方を知り、支援者として、隠れた部分への対応が必要だと学んだからです。目で見て分かる行動面、例えば、「友達が落ち込んでいる」という様子に気づくことはできても、「なぜ落ち込んでいるのか」を知ろうとしなければ、本当の原因に気づかない可能性があると思います。私はこの授業での学びから、養護教諭として働いた時に、隠れた原因に目を向けて、働きかける姿勢を大切にしたいと思うようになりました。

<自習ノートより「氷山モデル」>

担当の山村先生は公認心理師の資格を取得されており、教育現場でのカウンセリング経験を多く持っています。授業内容は、カウンセリングの基礎や発達の課題、不登校など、難しいと感じる内容もあるかもしれませんが、授業の初めには、前回の授業内容を、授業の終わりには、その回の授業内容を、端的に説明してくださるので、授業内容が理解しやすいと思います。